祝い箸の由来
おせち料理やお雑煮を食べる時には、慶事用の「祝い箸(いわいばし)」というものを使うのが日本の風習となっています。
どうしておせちやお雑煮を食べるときに、普段使っているお箸ではなく「祝い箸」を使うのかというのは、その由来を知ることで理解出来るでしょう。
まず、基本的な祝い箸というのは「末広がり」で八寸(約24cm)という長さであり、縁起をかついだ形をしています。
そして祝い箸は、両口箸、柳箸、俵箸とも呼ばれることがありますが、それぞれの名前によっていろんな意味や由来を持っています。
両口箸(りょうくちばし)
両口箸というのは、先端と持ち手側の両方が細くなっているお箸で、片方は人が食べるために使うもの、もう片方は神様が食べるために使うもので、神人共食(しんじんきょうしょく)という意味をあらわしています。
おせちやお雑煮などのお正月の祝い膳というのは、ただ人間がお祝いで食べるということだけではなく、
無事に新年を迎えられたことへの神様への感謝のお供え物という意味もあるのです。
そのお供えを分かち合って食べることで、素晴らしい年になるようにという願いが込められているのです。
ですから、両口箸を使って、神様と食事を共にするのですね。
柳箸(やなぎばし)
柳箸と呼ばれるのは、その名のとおり柳で出来ている祝い箸だからです。
お祝いの席というのは、何かものが壊れたりすると縁起が悪いので、どんなものでも出来る限り強靭なものを使います。
柳箸も同様で、折れたりしないように、丈夫で折れにくい柳の木を使って作られています。
折れにくいところから、縁起がよいとされています。
俵箸(たわらばし)
俵箸と呼ばれる由縁は、先端と持ち手の間が太目にできている(つまり、箸の中央の部分がふくらんでいる)からです。
これは、豊作を祈って祝い箸に米俵を模したものですが、子孫繁栄を表しているとも捉えられることから「はらみ箸」や「太箸(たいばし)」と呼ばれることもあります。